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ハーブシリーズ(18) サフラワー (紅花)
赤や黄色の染料として古くから使われているサフラワーは、日本で言う”ベニバナ”です。万葉時代には「くれなゐ」と呼ばれ、若く美しい女性を象徴する花でした。しかし、サフラワーを摘むとき茎の先端についた花を摘むため、平安時代は「末摘花(すえつむはな)」と呼ばれ、源氏物語では”末摘花は鼻が赤い醜女(しこめ)”と表現されています。同じ花でも時代により、こんなにも捉え方、例え方が変わるのは面白いですね。
サフラワーは中国では、”血を動かす”薬草として、血流を刺激して血行を良くするため冷え性を改善すると言われ重用されてきました。通経作用により生理痛、生理不順、更年期による症状など、女性特有の症状軽減の効能も期待できるといわれてきました。実際に、中国の古い薬物書には婦人病薬として、冷え症や更年期障害などの治療に用いるよう記されています。具体的には、サフラワーの花弁を乾燥させた”紅花(こうか)”を、血行促進し鬱血を除く漢方薬として用いています。婦人病特有の血行障害による生理痛や、産後の腹痛などに効果があるとされています。ただし、キクアレルギーがある人は注意が必要で、出血性疾患のある人や消化性潰瘍のある人、妊娠中の人は使用を控えましょう。
サフラワーの種子からは、リノール酸を多く含む、料理に使われる紅花(ベニバナ)油がとれます。紅花油は、血管壁についたコレステロールを取り除く働きや、高血圧予防に効果があるとされています。また種子に含まれるポリフェノール成分には血管年齢の改善効果があることも、明らかになっています。食用油以外は、乾燥させたサフラワーを用います。サフラワーのハーブティーは血行促進が期待でき、あっさりとして飲みやすく、ほかのお茶にブレンドするのもおすすめ。ドライフラワーのサフラワーにお湯を注ぐと、鮮やかな黄色に変化するので、見た目もたのしめます。そのため鍋やスープの彩りに使われることも多いですね。ちなみに、パエリアの黄色いライスは通常サフランで色付けしますが、サフラワーでもあざやかな黄色味を出すことが可能です(乾燥サフラワーにお湯を注ぎしっかり色が出たらスープに合わせるだけ!)。ただし、サフラワーの色素は服などに一度付いてしまうととれないため、こぼさないように気をつけましょう。
〜上手にハーブを使って、快く美しい毎日を〜 arkakiranah